展覧会の広告を見て、テレビ番組を見て、「アンドリュー・ワイエスって誰だろう」と思った方がいるのではないでしょうか。
私もその1人です。なにも知らない状態で、ワイエス展を訪れました。
そこでは
アメリカの素朴で、日常の幸せがにじみ出る景色・人物達が待ってました。
色彩は暗い。しかしそこに希望もある。見ていてなんだが不思議と温かい気持ちになれる作品に出会うことができました。
ここでは、アンドリュー・ワイエスの簡単な紹介から、私自身が惹かれた3作品を紹介します。
この投稿で、少しでもアンドリュー・ワイエスという人物、そして作品たちに興味を持っていただけると幸いです。
アンドリュー・ワイエス
どんなひと?
アンドリューワイエス(Andrew Wyeth 1917-2009)は、アメリカ出身の画家で、主に地元の風景や、身近な人物をモデルにした作品を制作しました。
1917年7月12日、アンドリュー・ワイエスは、高名な挿絵画家だったニューウェル・コンヴァース・ワイエス(N.C.ワイエス)の5番目の子としてペンシルヴェニア州チャッズ・フォードの自宅で生まれました。幼い時から父の手ほどきを受けて画家の道へ進み、1937年の個展では全作品が完売するなど、若くして頭角を現します。https://wyeth2026.jp/
当時、20世紀アメリカでは、派手な色彩の広告や漫画を使ったポップ・アートが流行していきました。
代表的な作品だと、アンディ・ウォーホルのキャンベルスープ缶が有名ですね。真っ赤なスープ缶が印象的です。

画像引用:Wikimedia commons
対して、ワイエスの作品を見てみましょう。

画像引用:美術手帖
先ほどのスープ缶と比べると、同じ時代に活躍した画家とは思えないほど、色彩は暗く、どこか寂しげな印象を受けます。彼の作品は一貫して地元の風景の影、光、そこに宿る空気までも細かく描き出しました。
同時代の前衛的な芸術からは距離を置き、生涯にわたり故郷のペンシルヴェニア州と夏を過ごしたメイン州を拠点に身近な世界を精緻に描き続けました。https://wyeth2026.jp/
日本人から好かれる作品
ワイエスの作品は長年日本人から愛されてきました。今回の展覧会は、ワイエス没後初めてとなる回顧展になります。
1974年に東京と京都で33万人を集めた日本で最初の個展以来、1995年、そして2008~9年にもワイエスの展覧会が開催され、日本でのワイエス人気は不動のものになりました。本展はワイエス没後はじめてとなる、国内待望の展覧会となります。https://wyeth2026.jp/
私は、今回初めてワイエスの作品を拝見したのですが、日常の風景の中に潜む光と影。その空間にある人のぬくもりが絵の中でそっと表現されていて、色彩自体は暗いものの、かすかに希望の光が見える気がしました。
何気ない生活の中に溢れる素朴な幸せや悲しみを慈しむ日本人の心に響く題材だからこそ、長年愛され続けているのではないか。そう感じました。
みどころ作品3選
クリスティーナ・オルソン

ワイエスは、彼の友人であるクリスティーナ・オルソンをモデルにした作品を多数制作しました。この作品は本展覧会の広告にも使用されている作品です。
彼女は脚が不自由でしたが、非常に社交的で明るい性格だったそうです。
明け放たれた扉の前に腰掛け、扉の向こうの景色を見つめるオルソン。自らの脚で遠くに行くことができないことへの寂しさが表情に表れながらも、太陽の光を全身で浴び、風で髪がなびく姿には、内から溢れる生命力と彼女の明るい性格を表現しているような。そんな印象を受けます。
この作品はテンペラ画という、絵具に卵の黄身を混ぜて描く技法で制作されています。この描き方は、絵具がすぐに乾き、発色がよく、全体的に艶の少ない作品になることが特徴的です。とても昔からある描き方で、20世紀の作品に使われていることに驚きました。
すぐに乾き、色彩が鮮やかに残る技法だからこそ、彼女の髪がなびく、その瞬間を余すことなく鮮明に描きだせていると感じました。
ゼラニウム

先ほどと同じくオルソンをモデルにした作品ですが、この作品では窓の外から部屋の中にいるオルソンを描いています。
もう扉の外にでることもできないほど、脚が弱くなってしまったのでしょうか。暗い部屋の中にいる彼女の表情は読み取ることはできませんが、社交的な彼女はきっとどこか悲しみを感じていたかもしれません。
暗い部屋の中には、奥の窓から差し込む光が鮮明に描き出されています。昔のように自由に外にでることができない現実に悲観し続けるのではなく、未来を見つめ、希望を見出す彼女の姿をこの光は表現しているのかもしれません。
そして画面手前の赤いゼラニウムがとても可愛らしい作品ですね。
赤いゼラニウムの花言葉は「あなたがいて幸せ」。
ワイエスは常に長年友人として、そして作品のモデルとして生涯を共にしてきたオルソンに贈る言葉として、この花を選んだのかもしれません。
ヒトデ

ワイエスの妻、ベッツィが窓の外で望遠鏡を使って遠くを眺めている場面です。
比較的暗い色彩を多く使用していたワイエスですが、この作品は白を基調とし、太陽の光を画面いっぱいに表現した明るい作品です。窓に飾られたヒトデや窓の外に映る海は、夏にぴったりな作品です。
窓をみるワイエス、窓の外にいるベッツィ、そしてその向こうを見つめる望遠鏡。平面の絵画ですが、その世界がはるか遠くまで広がっている印象を受けます。
窓という境界を飛び越えて、その先に広がる世界の希望で溢れている。そんな気持ちになりました。
行き方
豊田市美術館
現在、アンドリュー・ワイエス展は、愛知県豊田市美術館で開催されています。(9月23日まで)
公共交通機関をご利用の場合、豊田市駅まで電車で乗り継いだ後、徒歩で約15分です。実際に私も歩いたのですが、美術館が坂の上にあるため、タクシーを利用しても良いかもしれません。
タクシー利用で、展覧会の割引券を配布中だそうなので、詳しくは豊田市美術館公式ホームページをご覧ください。
豊田市美術館公式ホームページ アクセス方法:https://www.museum.toyota.aichi.jp/visit/
今後の開催予定
豊田市美術館で2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
あべのハルカス美術館で2026年10月3日(土)~12月6日(日)
まで開催予定です。お近くの美術館へ是非お立ち寄りくださいませ。
豊田市美術館公式ホームページ:https://www.museum.toyota.aichi.jp/
あべのハルカス美術館公式ホームページ:https://www.aham.jp/
まとめ
今回はアンドリュー・ワイエス展についてまとめて見ました。
当時のポップ・アートの流れとは違い、目の前に広がる地元の風景や身近な人物を描き続けたワイエス。
現実世界の暗さを表現しながらも、そこに希望を見出していく影と光の表現がとても素晴らしい作品たちです。
興味を持ってくださったかたは、ぜひ近くの美術館に訪れてみてくださいませ。
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